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マルチオミクス質量分析によるプロファイル解析で明らかにされたミトコンドリアタンパク質の機能

Nature Biotechnology 34, 11 doi: 10.1038/nbt.3683

ミトコンドリア機能障害は、がんや神経変性など、特徴が十分に解明されていないタンパク質および経路と結び付けられることが多いさまざまなヒト疾患と関連する。そうした特性の不明なタンパク質の機能の解明を始めるため、質量分析法を利用して、ミトコンドリアの生物学的性質に関連する遺伝子をそれぞれ1個ずつ欠く酵母174株のプロテオーム、リピドーム、およびメタボロームのマッピングを行った。その遺伝子のうち144個にはヒトのホモログが存在し、そのうち60個は疾患関連、39個は特性不明である。今回紹介するマルチオミクスデータの解析および可視化のためのツールを用いて、分子機能、関連遺伝子欠失プロファイル間の相関、タンパク質機能を反映する遺伝子特異的変動、および呼吸欠損の全体的な応答を推定可能な共分散ネットワークを見いだした。このマルチオミクス法により、Hfd1pおよびそのヒトホモログALDH3A1を含む7種類のタンパク質が、多くのヒト疾患で破壊されている重要経路であるミトコンドリア補酵素Q生合成に関連付けられた。このリソースは、ミトコンドリアタンパク質の機能に関する分子レベルでの洞察をもたらすと考えられる。

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