Review
単一細胞ゲノミクスで細胞独自性のベクトルを明らかにする
Nature Biotechnology 34, 11 doi: 10.1038/nbt.3711
単一細胞ゲノミクスにより、ヒト細胞の包括的なアトラスの作製が可能となっている。同時に細胞の独自性、および細胞の分子回路による独自性調節様式の定義付けが再開されている。新たなコンピューター解析法は、特に単一細胞RNA配列解読法(scRNA-seq)で、個別の細胞型から連続した動的な変化および空間的位置まで、細胞独自性のさまざまな並列的側面をデータ主導ですでに解明し始めている。その展開は、最終的には細胞を「基底ベクトル」の重ね合わせとして表現することを可能にすると考えられる。個々の基底ベクトルは、細胞の構成および機能に関する異なる(しかし依存している可能性もある)側面を決定するものである。しかし、コンピューター解析法は、技術的ノイズおよびデータ規模の取り扱いから新たな生物学的抽象概念の形成まで、多大な問題を克服する必要もある。単一細胞実験の規模は拡大し続けており、細胞独自性の参照マップの構築および特性評価には新たな計算法が不可欠と考えられる。