Perspective

構造が完全なヒトスケールの組織構築物を作製する3Dバイオプリンティングシステム

Nature Biotechnology 34, 3 doi: 10.1038/nbt.3413

臨床的に適切な大きさ、形状、および構造的完全性を有し血管網を持つ三次元(3D)の細胞構築物の作製は、組織工学の課題である。本論文では、ヒトスケールで形状が任意の安定した組織構築物を作製することができる統合型組織器官プリンター(integrated tissue-organ printer;ITOP)を紹介する。機械的安定性は、細胞を含ませたヒドロゲルを生分解性ポリマーとともに統合的なパターンで犠牲ヒドロゲル中に固定させてプリントすることによって得られる。組織構築物の正確な形状は、臨床画像データを解剖学的欠損のコンピューターモデルとして使用し、そのモデルをプリンターノズルの動きを制御するプログラムへ変換して細胞を別々の場所へ分注させることによって得られる。組織構築物にマイクロチャネルを組み込むことで、プリントされた細胞への栄養物質の拡散が促進され、人工組織中の細胞の生存に関する100~200 μmという拡散限界が克服される。ITOPの能力は、下顎骨および頭蓋冠骨、軟骨、骨格筋を作製することによって示された。ITOPの今後の開発は、ヒト用組織の作製、ならびにさらに複雑な組織および固形臓器の構築を目指している。

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