Perspective
忠実度が高い長期的な皮質神経活動記録のための低侵襲性血管内ステント電極アレイ
Nature Biotechnology 34, 3 doi: 10.1038/nbt.3428
脳活動を記録および刺激するための高忠実度の頭蓋内電極アレイにより、神経学的疾患の治療は過去10年で大幅に進歩してきた。従来のアレイは開頭術によって脳内に直接移植する必要があり、炎症性の組織反応を引き起こす場合があるため、脳の損傷を免れる低侵襲法の開発が求められている。今回我々は、受動的ステント電極記録アレイ(ステントロード)を用いることで静脈内からの長期的な脳活動記録が可能となることを明らかにした。運動皮質に重なる表在性皮質静脈への留置をカテーテル血管造影法によって行い、自由に運動するヒツジの神経活動を最高190日間にわたって記録した。血管から得た皮質脳波のスペクトル成分および帯域幅は、硬膜外表面アレイの記録と同等であった。留置中、静脈内腔の開存性は維持されていた。ステントロードは、さまざまな神経学的疾患を治療するための神経インターフェースとして広く応用可能と考えられる。