Perspective

マウス新生仔の代謝性肝疾患のCas9による矯正をデュアルAAVシステムが可能にする

Nature Biotechnology 34, 3 doi: 10.1038/nbt.3469

新生児の遺伝性肝疾患の多くは代謝クライシスを繰り返し、致死的であることも多い。そうした状況では、アデノ随伴ウイルス(AAV)などの非組込み型ウイルスを用いる遺伝子療法は最適ではない。それは、非組込み型ゲノムが成長中の肝細胞の増殖に伴って消失するためである。我々は、新生児の肝臓はCRISPR-Cas9を用いたAAVによる遺伝子修復に理想的な場なのではないかと考えた。本研究では、尿素サイクル異常症の酵素オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)が部分的に欠損した新生仔マウスに、Cas9を発現するAAV、ならびにガイドRNAおよびドナーDNAを発現するAAVという2種類のAAVを静脈注射した。その結果、疾患を増悪させる高タンパク質食を与えたマウスで、肝細胞の10%(6.7~20.1%)に変異の修復が認められ、生存率が上昇した。OTC欠損成体マウスの遺伝子修復率はそれを下回って、内因性OTC遺伝子からの残存発現を排除する大規模な欠失が伴い、固形飼料を与えるとタンパク質耐性が低下して致死性の高アンモニア血症が生じた。

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