Perspective

触媒活性および触媒不活性CRISPR-Cas9による相同組換えゲノム編集を非対称ドナーDNAで強化する

Nature Biotechnology 34, 3 doi: 10.1038/nbt.3481

Cas9による選択的なゲノム操作は、誤りの多い非相同末端結合(NHEJ)を介してノックアウト細胞およびノックアウト生物を効率的に作製することができるが、相同組換え修復(HDR)による正確な配列置換の効率は大幅に低い。本研究ではCas9と標的DNAとの相互作用を調べ、得られた知見を用いてHDRの効率を向上させた。我々は、二本鎖DNA(dsDNA)基質からのCas9の解離は低速であるが(持続時間は約6時間)、完全に解離する前に、sgRNAと相補的ではない切断DNA鎖(非標的鎖)の3′末端をCas9が非対称的に放出することを明らかにした。先に放出される鎖と相補的な最適長の一本鎖DNA(ssDNA)ドナーを合理的に設計することにより、Cas9またはニッカーゼ多様体を用いた場合のヒト細胞のHDR率は最高60%まで向上した。また、DNAに結合はしても切断はしない触媒不活性型のCas9変異体(dCas9)ではHDR率が最大0.7%であることも示された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度