Review
臨床的に有用なオリゴヌクレオチド治療の化学的進化
Nature Biotechnology 35, 3 doi: 10.1038/nbt.3765
40年近い開発により、オリゴヌクレオチド治療薬は、意味のある臨床的生産性を達成しつつある。オリゴヌクレオチド薬の重要な利点の1つは、標的が塩基配列によって定まるのに対して、送達および効力が主としてオリゴヌクレオチドの化学構造に由来することである。そのため、特定の化学設計をもつオリゴヌクレオチドは、特定組織での臨床的遺伝子サイレンシングに適切な分布および安全性プロファイルを示し、これが同一組織の他の疾患関連遺伝子を標的とする新たな薬剤の迅速な開発につながる。臨床的生産性を達成するには、オリゴヌクレオチドの化学構造を糖、骨格、核酸塩基、ならびに3′および5′末端修飾の組み合わせによって最適化する必要がある。複数の化学的性質の組み合わせにより、オリゴヌクレオチド全体に薬物様の特性を与えることができ、小さな化学的変化が大きな臨床効果の改善につながることは多い。オリゴヌクレオチドの化学的開発に関する未解決課題の1つは、化学構造の最適化によって長期的安全性を図ることである。肝臓への有効な作用を可能とする設計は複数存在するが、第二の課題は、別の組織での確実な臨床効果を実現する設計を開発することである。