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1c型アッシャー症候群マウスモデルの聴覚機能および前庭機能を遺伝子治療で回復させる
Nature Biotechnology 35, 3 doi: 10.1038/nbt.3801
難聴の生物学的治療法は現時点で存在しないため、我々は、遺伝性難聴の遺伝子治療法の進展を追求し、失明、平衡障害、重度難聴を引き起こす深刻な遺伝病「アッシャー症候群」に焦点を絞って、1C型アッシャー症候群(USH1C)のノックインマウスモデルUsh1c c.216G>Aを調べた。複雑な聴覚機能および平衡機能の回復には、聴細胞および前庭感覚細胞を高い効率で標的とする遺伝子送達法が必要と考えられるため、我々は、感覚有毛細胞の80~90%に形質導入を行うことが分かっている合成アデノ随伴ウイルスベクターAnc80L65を使用して、野生型のUsh1cをUsh1c c.216G>Aマウスの内耳へ送達した。その結果、遺伝子およびタンパク質の発現の回復、感覚細胞機能の回復、複雑な聴覚機能の回復、ならびに聴力および平衡行動の回復が、ほぼ野生型に近いレベルで認められた。今回のデータは内耳機能の前例のない回復を示しており、難聴の生物学的治療法が遺伝性内耳疾患患者向けの臨床化に適している可能性が示唆された。