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大腸菌の細胞エンベロープタンパク質複合体の全体像
Nature Biotechnology 36, 1 doi: 10.1038/nbt.4024
細菌の細胞エンベロープタンパク質(CEP)複合体は、膜アセンブリー、抗生物質耐性および代謝調節といったさまざまな過程を仲介する。しかし、重要な巨大分子で特性の明らかになっているものは、ごくわずかである。本論文では、大腸菌の内外膜およびペリプラズムのタンパク質の90%を含む1347種類のCEPのプロテオームを調べた結果を示す。非変性界面活性剤による抽出の後、内因的に標識された785種類のCEPを親和性精製し、安定的に結合したポリペプチドを高精度な質量分析によって発見した。得られた質の高い物理的相互作用ネットワークは対象CEPの77%を含み、これまで特性が不明であった多くの異種複合体を明らかにした。オートトランスポーターの分泌は、βバレルアセンブリー装置を含む協調的機構によるペリプラズムから細胞表面までの適切な折りたたみの核となる移動アセンブリーモジュールTamBを必要とすることが分かった。また、機能未知のABCトランスポーターYadHが、Mla系と共に外膜の脂質の非対称性を保っていることも明らかにされた。この大腸菌CEP「インタラクトーム」は、細菌の増殖、代謝および薬剤耐性に不可欠な細胞エンベロープ系を支配する機能の全体像に関する洞察をもたらす。