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in vitroおよびin vivoでの選択的単一細胞感染のためのウイルススタンプ法
Nature Biotechnology 36, 1 doi: 10.1038/nbt.4034
単一細胞のウイルス感染による遺伝子工学的操作は、脳などの複雑な系の研究に有用である。しかし、単一細胞への感染に利用可能な方法には、その応用を制限する欠点がある。本論文では、ウイルスを輸送媒体(機能化したガラスピペットの先端またはピペット中の磁気ナノ粒子)と可逆的に結合させ、それを機械力または磁力によって表面上または組織内の標的細胞と物理的に接触させる「ウイルススタンプ法」を紹介する。この方法では、同一組織内の異なる単一細胞に異なるウイルスを感染させることが可能であり、1つの細胞を異なるウイルスに同時感染させることもできる。我々は、狂犬病ウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルスを使用して、細胞培養液中、マウス網膜内、ヒト脳オルガノイド内、および生きているマウスの脳内の標的細胞で蛍光マーカーまたはカルシウムインジケーターの発現を誘導した。ウイルススタンプ法は、in vitroおよびin vivoの両方で各種細胞の選択的単一細胞感染を行うための汎用的な解決策を提供する。