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DNAデアミナーゼによる5-ヒドロキシメチルシトシンの1塩基分解能の非破壊的塩基配列解読
Nature Biotechnology 36, 11 doi: 10.1038/nbt.4204
本論文では、バイサルファイトを用いることなく、少ないDNA投入量で5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)の位置を1塩基分解能で突き止める方法であるACE-seq(APOBEC-coupled epigenetic sequencing)について示す。この方法は、AID/APOBECファミリーのDNAデアミナーゼ酵素がシトシンの修飾状態を強力に区別し得るという知見に基づき、化学的ではなく酵素的な脱アミノ反応の非破壊的な性質を利用している。ACE-seqでは、従来法の1000分の1以下のDNA投入量で信頼性の高い5hmCプロファイルが得られた。組織に由来する皮質興奮性ニューロンの1塩基分解能の5hmCマップをACE-seqで作製すると、5hmCはほぼ完全にCGジヌクレオチドに限定されていることが分かった。全ゲノムマップによってシトシン、5-メチルシトシン(5mC)、および5hmCの役割が明らかになり、5hmC/5mC比がエンハンサーでは高くインプリンティング制御領域では低いなど、全体的なパターンから逸脱したゲノム特性が判明した。酵素による脱アミノ反応によって、バイサルファイトを用いる方法が抱える多くの課題が克服されるため、試料が少量でもエピゲノムプロファイリングが行えるようになり、シトシン修飾のゲノム生物学的役割に関する新たな研究が可能となる。