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コンビナトリアル遺伝子スクリーニングのためのオルソロガスなCRISPR–Cas9酵素

Nature Biotechnology 36, 2 doi: 10.1038/nbt.4048

CRISPR–Cas9を用いるコンビナトリアル遺伝子スクリーニングは、重複遺伝子の発見および複雑な遺伝子ネットワークの探究に有用な方法である。しかし、現在の方法はシングルガイドRNA(sgRNA)同士の干渉、および遺伝子ターゲッティング活性の低さが課題となっている。我々は、コンビナトリアルスクリーニングを効率化するため、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)および化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)由来の独立したCas9酵素を使用した。機械学習を用いてS. aureus Cas9 sgRNAの設計ルールを確立し、S. aureus Cas9をS. pyogenes Cas9とペアにして、多数の細胞で二重ターゲッティングを実施した。また、レンチウイルスベクターとクローニング戦略を開発して、高度に複雑化したプールされた二重ノックアウトライブラリーを作成し、MAPK経路遺伝子やアポトーシス遺伝子を含む合成致死性および緩衝性の遺伝子ペアを複数の細胞型で特定した。このオルソロガスな方法では、遺伝子ノックアウトと転写活性化を組み合わせるスクリーニングも可能となり、TP53との遺伝子相互作用が明らかにされた。今回示したBig Papi(paired aureus and pyogenes for interactions)法は、コンビナトリアルな表現型の研究に広く応用可能と考えられる。

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