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改変RNAを用いた内因性ADARの動員によるプログラム可能なRNA編集

Nature Biotechnology 37, 9 doi: 10.1038/s41587-019-0178-z

現在の選択的RNA編集ツールは、外因性タンパク質または化学修飾されたガイドRNAの送達に依存しており、異常なエフェクター活性、送達の障壁、または免疫原性が生じる可能性がある。本論文では、LEAPER(leveraging endogenous ADAR for programmable editing of RNA)と名付けた手法を紹介する。これは、改変された短いADAR動員RNA(arRNA)を用いて細胞本来のADAR1またはADAR2酵素を動員し、特定のアデノシンをイノシンに変化させる手法である。プラスミドもしくはウイルスベクターによって、または合成オリゴヌクレオチドの形で送達されたarRNAは、編集効率が最高80%に達することが示された。LEAPERは高度に特異的であり、広域のオフターゲットはほとんど認められず、標的領域の非標的アデノシンの編集も限定的であった。また、複数のヒト初代細胞型を含むさまざまな細胞型で活性を示し、ハーラー症候群患者由来の初代繊維芽細胞のα-l-イズロニダーゼ触媒活性を、先天性免疫応答を引き起こすことなく回復させることができた。LEAPERは、一分子システムとして、正確で効率的なRNA編集を可能にするものであり、治療および基礎研究に幅広く応用可能である。

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