遺伝学:ヒトパンゲノムの概要参照配列が初めて発表される
First draft of a human pangenome
doi: 10.1038/s41586-023-05896-x
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doi: 10.1038/s41587-021-01195-w
神経技術はわずか数年で大きく進歩しており、数々の新たな手法を生み出して脳機能の解明を進展させたり新規治療介入に寄与したりすることが期待される。基礎神経科学の分野では、自由に行動するマウスの脳や末梢神経系にある特定のニューロン集団の活動を多彩な分子的手法で追跡、操作することができるようになりつつある。単一細胞「オミクス」は脳細胞の徹底的な特性評価を可能にしつつあり、健康時と疾患時の神経解剖学的特徴と機能をこれまで以上に詳細に理解することができるようになると考えられる。動物モデルの分野では、種々の興味深い電気的、化学的、光学的ツールが続々と登場し、神経科学者の基本ツールになるとともに、ヒトでの研究のデザインに役立っている(FrankらのReview参照)。
臨床的には、これまで外科的および小分子的な手法が神経・精神疾患の治療法をもたらしてきたが、治療手段としての的確さが改善されず、十分な有効性が得られないのに大きな副作用を伴うことが多かった。現在は、高い精度でニューロンの記録と刺激を行うことができる電極アレイが柔軟に軟らかく作製され、注射器で脳構造の深部に注入されてデコーダーおよびアクチュエーターと接続されるようになりつつある。これにより、四肢麻痺患者がロボットアームを制御して失われた機能を取り戻す可能性が新たに切り開かれようとしている。一方、脳深部刺激療法は、パーキンソン病など多くの運動障害に有効であるが、副作用がないわけではない。次世代型電極は空間的制御と時間的制御が得られ、正確に刺激を加えることを可能にするが、疾患の背後にある過程が十分に解明されていなければ、臨床医がそうした工学的成果を活用することはできない(CagnanらのReview参照)。
皮質からの電気シグナルを検知する電極を患者に一時的に埋め込む研究からは、脳機能に関する新しい知見が得られつつある。生体適合性のある生体組織類似の電子機器は深部構造に由来する脳機能を検知し、脳活動の長期読み出しとともに慢性疾患の治療法をもたらそうとしている(PatelとLieberのPerspective参照)。
精神・神経疾患の精密治療は膨大な数の患者に恩恵をもたらす可能性があるが、その開発と応用を支援するカギとなるのは、脳の接続性と機能に関する機構的解明の進展である(Editorial参照)。今後数年の間に利用の幅が広がりそうな方法の典型例である脳–コンピューターインターフェースでは、埋植型デバイスによって脳信号が記録され、それが複雑なアルゴリズムによって解読されて、人工装具によって動作に変換される(SmalleyのNews Feature参照)。脳–マシンインターフェースはこれまで数十例で試験使用が成功しており、この分野はさらに安全で優れたシステムをめざして前進している(Patent Table参照)。
脳機能を測定および調節する経頭蓋磁気刺激法などの非侵襲的手法は疾患の治療に有効であり、消費者直販の世界でも勢いを増している(WaltzのNews Feature参照)。
神経技術の開発が急展開する中で、疾患の治療(Q&A参照)や消費者直販の領域(WexlerのCorrespondenceとIencaらのCorrespondence参照)で神経技術を用いることをめぐる倫理的問題については、議論を続けて適切な行動をとることが重要であろう。
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