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標的適合性が広く活性が高い塩基エディターの連続進化

Nature Biotechnology 37, 9 doi: 10.1038/s41587-019-0193-0

塩基エディターは、触媒不活性型のCRISPRタンパク質で標的を定めたDNA改変酵素を用いて点変異を正確に導入する。今回我々は、塩基エディターの編集効率および標的配列適合性を向上させるBE-PACE(phage-assisted continuous evolution of base editors)という方法を開発した。BE-PACEを用いることにより、標準的なシトシン塩基エディター(CBE)の標的配列環境の制約を克服するCBEを進化させた。進化したCBEの1つであるevoAPOBEC1-BE4maxは、野生型のAPOBEC1デアミナーゼに不利なGC環境でのシトシン編集効率が最高26倍となった一方、検証した他の全ての配列環境でも効率的な編集を維持していた。進化した別のデアミナーゼevoFERNYはAPOBEC1よりも29%小型であるが、検証した全ての配列環境で効率的に編集を行った。また、困難な標的部位での編集効率がはるかに高いCDA1デアミナーゼに基づくCBEも進化させた。最後に、進化したCBEから得たデータを用いて、デアミナーゼ活性、塩基編集効率、編集枠の広さ、および副産物生成の関係を明らかにした。今回の知見は、塩基エディターを迅速に進化させる方法を確立し、塩基エディターの利用および改善に資するものである。

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