Review

改良型脳深部刺激療法のための新技術

Nature Biotechnology 37, 9 doi: 10.1038/s41587-019-0244-6

脳深部刺激療法(DBS)は多くの運動障害に有効な治療法であり、主要な脳構造に電気刺激を与えて神経活動を調節するために用いられている。パーキンソン病や本態性振戦などの疾患の治療では刺激が長期にわたって効果を発揮するため、さまざまな神経疾患および精神疾患への応用が促進されてきた。しかし、DBSの適用範囲はパーキンソン病でも限定的である。DBSは大うつ病の臨床試験が最近失敗し、認知症およびてんかんの治療転帰も満足なものではなかったため、さらなる開発に拍車がかかっている。そうした改良は、相補的、時空間特異的な手法による疾患回路との相互作用に重点が置かれている。空間特異性は分割電極および電界制御(field steering)を用いることによって向上する一方、時間特異性はパターン化した刺激を与えることが必要で、多くの場合、疾患関連のフィードバックによって制御される。そうした開発を支えるのは脳の構造と機能の関連性および回路の異常な動態に関する新たな知見であり、刺激の臨床効果を評価および改良するための新しい方法もその一部である。

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