Letter

がん免疫療法用のヒトキメラ抗原受容体マクロファージ

Nature Biotechnology 38, 8 doi: 10.1038/s41587-020-0462-y

キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法は血液の悪性疾患に有望と認められているが、固形腫瘍への応用は困難であった。マクロファージが特有のエフェクター機能と腫瘍浸潤能を持つことから、今回我々は、ヒトマクロファージを遺伝子操作してCARを持たせ、その食作用を腫瘍に向けさせた。我々は、あるキメラアデノウイルスベクターが、遺伝子操作に対する初代ヒトマクロファージの固有の抵抗性を打破し、持続的な炎症誘発性(M1)の表現型を与えることを明らかにした。CARマクロファージ(CAR-M)は、in vitroで抗原特異的な食作用と腫瘍排除を示した。2つの固形腫瘍異種移植マウスモデルでは、ヒトCAR-Mの単回注入で腫瘍量が減少し、全生存期間が延長した。CAR-Mの活性を調べた結果、CAR-Mは、炎症誘発性のサイトカインとケモカインを発現しており、バイスタンダーM2マクロファージをM1に変換し、抗原提示装置を増加させ、抗原を動員してT細胞に提示し、免疫抑制性サイトカインの作用に抗することが明らかになった。ヒト化マウスモデルではさらに、CAR-Mが炎症誘発性の腫瘍微小環境を誘導してT細胞の抗腫瘍活性を増強することが示された。

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