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CD4への結合を強化したMHCクラスII四量体が抗原特異的T細胞の検出を改善する

Nature Biotechnology 39, 8 doi: 10.1038/s41587-021-00893-9

主要組織適合複合体(MHC)分子に結合した特異的なペプチド抗原を認識するT細胞を特定することができるようになり、細胞性免疫を担うリンパ球の計数と分子特性評価が可能になった。フルオロフォア標識ペプチド:MHCクラスI(p:MHCI)四量体は、フローサイトメトリーで抗原特異的CD8+ T細胞を特定するための確立された試薬であるが、この方法をCD4+ T細胞まで広げる試みは、CD4とMHCクラスII(MHCII)分子との結合が弱いためか、あまり成果が上がっていない。本論文では、指向性進化法によってCD4との結合を強化したp:MHCII四量体がコグネイトT細胞の検出に関して従来の四量体に勝っていることを示す。このp:MHCII四量体を用いると、複数のペプチドに対する免疫性を与えたマウスの抗原特異的なCD4+ T細胞を、従来の四量体の約2倍特定することができた。これにより、CD4親和性を高めたp:MHCII四量体は、従来のp:MHCII四量体技術では手が届かなかった抗原特異的CD4+ T細胞の直接サンプリングを可能とする。この新しい試薬はT細胞レパートリーのさらに深い理解をもたらすと考えられる。

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