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単一細胞または空間トランスクリプトミクスデータから組織の多細胞プログラムをマップ化するDIALOGUE
Nature Biotechnology 40, 10 doi: 10.1038/s41587-022-01288-0
組織内の細胞の機能的相互作用の解析は、依然として大きな課題である。本論文では、組織レベルで高次の機能ユニットを形成するさまざまな細胞型の協調的な細胞プログラムの組み合わせである「多細胞プログラム(MCP)」を、空間データまたは空間情報なしで得られた単一細胞データから系統的に発見する方法「DIALOGUE」を紹介する。DIALOGUEは、マウスの視床下部、小脳、視覚皮質および新皮質から得た空間データセットで検証すると、動物の行動に関連するMCPを発見し、未見データでの検証で空間的特性を再現する一方で、他の方法や指標よりも優れていた。ヒト肺がん由来の空間データでは、免疫活性化および組織再構築を特徴付けるMCPがDIALOGUEで発見された。DIALOGUEを個人間や領域間の単一細胞RNA塩基配列解読データに応用することで、アルツハイマー病、潰瘍性大腸炎、がん免疫療法に対する抵抗性を特徴付けるMCPが見つかった。そうしたプログラムは独立のコホートでの疾患転帰および疾病素因の予測力を持ち、ゲノムワイド関連解析から得られたリスク遺伝子を含んでいた。DIALOGUEは健常および疾病状態の多細胞調節の解析を可能とするものである。