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深部組織オプトジェネティクスのための赤色光応答型光スイッチ

Nature Biotechnology 40, 11 doi: 10.1038/s41587-022-01351-w

赤色光は哺乳類の組織の深部まで侵達し、光毒性も低いが、赤色光を用いる光操作ツールはほとんど開発されていない。本論文では、哺乳類の内在性色素であるビリベルジンを補因子として結合する赤色光吸収性バクテリオフィトクロム、およびライブラリー選択により開発したアフィボディー(光の状態に特異的なバインダー)からなる赤色光応答型光スイッチMagRedを紹介する。赤色光照射がトリガーとなってMagRedの2つの成分が結合することにより、それぞれにつながった分割タンパク質を会合させることができる。我々は、MagRedを用いて赤色光で活性化可能なCre リコンビナーゼを開発し、哺乳類組織の深部での光活性化型DNA 組換えを可能にした。また、CRISPR–Cas9をベースにして、複数の内在性標的遺伝子を最大378倍(平均135倍)活性化できる赤色光誘導型の転写調節因子も開発した。MagRedは、さまざまな生物学研究分野で哺乳類動物の深部でのオプトジェネティクスの利用を促進する。

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