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がん免疫療法薬と従来薬との相乗的な組み合わせを発見する多重埋植型マイクロデバイスアッセイ

Nature Biotechnology 40, 12 doi: 10.1038/s41587-022-01379-y

がん治療用の標的薬と免疫療法薬との相乗的な組み合わせを系統的に見いだすことは、今なお容易でない。本研究では、ハイスループット、ハイコンテントな技術の一元化を行って、腫瘍のさまざまな部位に複数の薬剤をナノ用量で投与する埋植型マイクロデバイスと腫瘍微小環境の状態の多重イメージングを利用し、さまざまな治療方式に対する腫瘍細胞および免疫応答の特性を調べた。乳がんのマウスモデルを用いることにより、多数の薬剤の中から有効な組み合わせが数日以内に発見された。3種類の免疫適格性乳がんモデルでのin vivo研究により、予測された組み合わせが相乗的に治療効果を高めることが示された。少なくとも5組の有望な治療戦略が発見され、中でもパノビノスタット、ベネトクラクス、および抗CD40の三剤併用療法は、各モデルで腫瘍の完全寛解誘導に最も有効であった。有効性が認められた薬剤の組み合わせでは、免疫原性細胞死中にがん幹細胞と樹状細胞との空間的な結び付きが強まったことから、これが乳がんの長期制御の重要な作用機序であることが示唆された。

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