植物での編集効率を高めた改変プライムエディター

プライム編集は汎用性のあるゲノム編集技術であるが、編集効率が低いという欠点がある。本論文では、編集効率を大幅に高めた最適化プライムエディターを紹介する。我々は、モロニーマウス白血病ウイルスの逆転写酵素のリボヌクレアーゼHドメインを除去してこの酵素を改変するとともに、核酸シャペロン活性を持つウイルスヌクレオカプシドタンパク質を組み込んだ。各々の改良は、植物細胞のプライム編集効率をそれぞれ1.8〜3.4倍程度改善した。我々の改変植物プライムエディター（ePPE）で組み合わせると、その2つの改良はさまざまな内生部位での塩基置換、削除、および挿入の効率を相乗的に改善し、培養細胞で元のPPEの平均5.8倍の改善となった。副産物やオフターゲット編集の有意な増加は認められなかった。ePPEを用いてスルホニル尿素系およびイミダゾリノン系除草剤に耐性を持つイネ植物体を作製すると、編集頻度はPPEの2.1％に対して11.3％であった。ePPEを既報の二重プライム編集ガイド（peg）RNAおよび改変pegRNAとも組み合わせたところ、効率はさらに高まった。