氷河マイクロバイオームのゲノムと遺伝子カタログ

氷河には独特の微生物遺伝子多様性が蓄えられ、進化の記録が残されている。チベット高原には最大面積の低緯度氷河が存在し、地球温暖化にとりわけ脆弱である。雪、氷、およびクリオコナイトの生息環境をカバーするチベットの氷河21本から採取したメタゲノム85例および培養分離菌883株の塩基配列を解読することにより、本論文では特有の氷河微生物ゲノムおよび遺伝子カタログを示し、氷河のゲノム多様性および機能的多様性を記録する。このTibetan Glacier Genome and Gene（TG2G）の網羅的なカタログにはゲノム883例およびメタゲノムアセンブルゲノム2358例が含まれ、これは30門にわたる968個の候補種を代表している。このカタログには2500万個を超える重複のないタンパク質コード遺伝子も含まれており、二次代謝物生合成能の探索、病原因子の特定、および世界の氷河メタゲノムの比較でその有用性が示された。TG2Gカタログは、チベットの氷河マイクロバイオームの構造および機能の理解を深めることを可能にする有益な情報資源である。