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免疫シナプスを調節したCARが免疫細胞の抗腫瘍活性を増強する
Nature Biotechnology 41, 10 doi: 10.1038/s41587-022-01650-2
キメラ抗原受容体(CAR)技術は、血液がんの治療で臨床的に利用されているが、固形腫瘍は今なおCAR治療薬に抵抗性を示す。ナチュラルキラー(NK)細胞は、その固有の抗腫瘍機能性により、CARに基づく手法に最適な種類の免疫細胞となる可能性がある。本研究では、CARに細胞内足場タンパク質結合部位を追加することで、CAR免疫シナプスを調節することを目指した。我々が用いたのは、シナプスの形成とNK CAR細胞の分極を増強する追加的な足場架橋を可能にするPDZ結合モチーフ(PDZbm)である。このCAR設計の複合的効果により、in vitroとin vivoでエフェクター細胞の機能性が向上した。さらに、T細胞を用いても、エフェクター機能に同様の総合的増強が観察された。免疫シナプスを調節したCAR免疫細胞には、固形腫瘍を含む数多くの異なる腫瘍モデルで、シナプスの強度および分泌サイトカインの数と量の増幅、腫瘍細胞の殺傷力の増強、生存期間の延長が認められた。