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遺伝子発現の正確で段階的な下方制御による植物の表現型の調整

Nature Biotechnology 41, 12 doi: 10.1038/s41587-023-01707-w

作物に新たな形質や望ましい形質を与える育種には、遺伝子発現を制御して表現型を定量的に変化させる能力が不可欠である。本論文では、上流のオープンリーディングフレーム(uORF)を操作することで遺伝子発現を予測可能な望ましいレベルに下方制御する効率的で簡便な方法を紹介する。我々は塩基編集またはプライム編集を用い、新規のuORFの導入、または終止コドンを変異させることによる既存のuORFの伸長を行った。こうした方法を組み合わせて、本体のオープンリーディングフレーム(pORF)の翻訳を野生型の2.5~84.9%に漸進的に下方制御する一連のuORFを作製した。GRASファミリーのタンパク質をコードしてブラシノステロイドのシグナル伝達経路に関与しているOsDLTの5′非翻訳領域を編集することにより、予想通り、草丈と分げつ数のさまざまな一連のイネ植物体が得られた。今回の方法により、段階的に形質を発現するゲノム編集植物を効率的に得ることが可能になった。

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