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ヒト尿管芽オルガノイドは分岐形態形成を再現して機能性の集合管細胞型に分化する
Nature Biotechnology 41, 2 doi: 10.1038/s41587-022-01429-5
ヒト多能性幹細胞(hPSC)の機能性の尿管上皮および集合管(CD)上皮への分化誘導は、腎臓の再生医療にとって極めて重要である。本論文では、hPSCの尿管芽(UB)オルガノイドおよび機能性CD細胞への極めて効率的な無血清での分化を紹介する。hPSCは、まず90%の効率で前腎前駆細胞に誘導されると、分子シグネチャーが腎管に類似する球体に凝集した。三次元マトリックスの中で、この球体は、胎児UBに類似の分岐形態形成(branching morphogenesis)およびRET発現の適切な遠位端局在が認められるUBオルガノイドを形成した。オルガノイド由来の細胞は、キメラ胎児腎外植片培養物中で前駆細胞ニッチのUB先端部に取り込まれた。その後の段階でUBオルガノイドはCDオルガノイドに分化し、そこにCD細胞型が95%以上含まれることが単一細胞RNA塩基配列解読によって推定された。そのCD上皮は腎臓の電気生理学的機能を示し、主細胞によるENaCを介した一方向性のナトリウム輸送、およびFOXI1で誘導された間在細胞によるV型ATPアーゼのプロトンポンプ活性が認められた。