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ハプロタイプを考慮した単一細胞トランスクリプトームの体細胞コピー数多型の解析
Nature Biotechnology 41, 3 doi: 10.1038/s41587-022-01468-y
ゲノムの不安定性と転写プログラムの異常な変化は、どちらもがんで重要な役割を果たしている。単一細胞RNA塩基配列解読(scRNA-seq)は、一度の分析で腫瘍の不均質性の遺伝的・非遺伝的原因を調べることができる可能性がある。本論文で紹介する電算法Numbatは、集団に基づくフェージングから得られたハプロタイプ情報をアレルおよび発現のシグナルと組み合わせ、scRNA-seqからのコピー数多型の検出を強化するものである。Numbatは、サブクローン間の進化的関係を利用し、単一細胞のコピー数プロファイルおよび腫瘍クローンの系統発生を反復的に推定する。多発性骨髄腫、胃がん、乳がん、および甲状腺がんなどの腫瘍検体22点の分析から、Numbatが腫瘍のコピー数プロファイルを推測し、腫瘍微小環境内の悪性細胞を正確に特定できることが明らかになった。我々は、腫瘍の進行と治療耐性に関係する転写シグネチャーを有する遺伝的亜集団を特定した。Numbatは検体に対応するDNAデータも事前の遺伝子型判定も不要であり、さまざまな実験状況やがんの種類に応用可能である。