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ハイブリッドssDNA修復鋳型と低分子カクテルによる初代細胞の高収量なゲノム改変
Nature Biotechnology 41, 4 doi: 10.1038/s41587-022-01418-8
CRISPRを介した部位特異的な導入遺伝子の挿入効率を、Cas9標的配列(CTS)を有する高濃度の二本鎖DNA(dsDNA)を用いた相同組換え修復(HDR)によって高めることは、初代細胞に害を与える場合がある。今回我々は、CTSを組み込んだ低毒性の一本鎖DNA(ssDNA)HDR鋳型を開発し、ノックイン効率と収量をdsDNA CTSの平均2~3倍程度に増強した。HDRを増強する低分子を組み合わせて用いることで、ノックイン効率は平均でさらに2~3倍ほど向上させることができた。今回の方法はさまざまな標的座位やノックイン構築物、初代ヒト細胞型で機能し、HDR効率は80~90%以上に達した。メンデル疾患に関連するIL2RAおよびCTLA4変異に関して、病原性遺伝子バリアントのモデル化と遺伝子置換の両方で、この方法の応用性が実証された。また、適正製造規範(Good Manufacturing Practice;GMP)に適合する非ウイルス的なキメラ抗原受容体T細胞の製法を開発したところ、ノックイン効率(46~62%)と収量(1.5 × 109個以上の改変細胞)が従来法を上回った。