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可逆的に切り替え可能なタンパク質を用いて蛍光異方性を大型の複合体に拡張する
Nature Biotechnology 41, 4 doi: 10.1038/s41587-022-01489-7
高分子複合体の形成は、時間分解された蛍光異方性を利用して回転運動性の変化を検出することによって測定可能である。しかし、この方法は比較的小型の分子(約0.1~30 kDa)に限定され、ヒトプロテオームおよびその複合体の大部分は対象外である。我々が紹介するSTARSS(selective time-resolved anisotropy with reversibly switchable states)はこの限界を打破し、観測可能な質量の範囲を3桁以上拡張する。STARSSは、切り替え可能な蛍光タンパク質の永続的で可逆的な分子遷移に基づき、大型複合体の比較的低速の回転拡散性を明らかにする。我々は、STARSSを用いて、クロマチン、レトロウイルスのGag格子、およびArc(activity-regulated cytoskeleton-associated protein)オリゴマーなど、細胞内の複数の分子複合体の回転運動性を調べた。STARSSは、任意の大きな構造体を調べることができるため、ヒトプロテオームの全体に広く応用可能である。