Article

細胞内記録用の時間標識付きティッカーテープ

Nature Biotechnology 41, 5 doi: 10.1038/s41587-022-01524-7

細胞の転写履歴を記録すれば、細胞の発生の軌跡や外部摂動への反応がさらに深く理解できるようになる。本論文では、成長過程で多様な蛍光標識を組み込んでティッカーテープのような履歴を保存する人工タンパク質繊維を紹介する。埋め込まれたHalo Tagレポーターはユーザーの供給する色素を取り込み、実経過時間に合わせて個々の繊維の成長を描く色付きのストライプを生じる。目的のプロモーターが駆動する共発現eGFPタグは、転写活性化の履歴を記録する。細胞の履歴は固定試料の高分解能多重スペクトル撮像で読み取り、Halo Tagタイムスタンプに対するeGFP標識の内挿から正確な絶対的タイミングが分かる。HEK細胞のドキシサイクリン誘導性転写および培養ニューロンのcFosプロモーター活性化の記録を実証したところ、単一細胞の絶対正確度は12時間の記録で30〜40分であった。今回示したタンパク質ティッカーテープの設計は、一般化されて、多様な生理学的モダリティーの超並列単一細胞記録が実現される可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度