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センサーと刺激装置を一体化させた高度創傷ケア・迅速治癒用の無線閉ループスマート絆創膏

Nature Biotechnology 41, 5 doi: 10.1038/s41587-022-01528-3

多モードのウエアラブルデバイスに基づく「スマート」絆創膏は、リアルタイムな生理学的モニタリングと積極的な介入を可能にして慢性創傷の治癒を促進する可能性がある。しかし、現在のスマート絆創膏技術では、センサーと刺激装置の両方を組み込む開発が進展していない。また、ロバストなシグナル変換には接着電極が不可欠であるが、既存の粘着性被覆材は貼り替え可能でないため、剥がすと繊細な創傷組織に二次的な損傷を与えかねない。今回我々は、こうした問題を、皮膚に当て必要に応じて着脱することができるヒドロゲル電極を備えた無線給電式の閉ループセンシング・刺激回路からなる、フレキシブルな生体電子システムを開発することで解決した。この創傷ケアシステムは、皮膚のインピーダンスと温度を連続的にモニタリングし、創傷の環境に応じて電気刺激を送れることが、マウスで実証された。前臨床の創傷モデルでは、対照群と比較して処置群の治癒が約25%速く、真皮のリモデリングが約50%強化されていた。また、単球とマクロファージの細胞集団には再生促進性遺伝子群の活性化が認められ、これによって組織の再生、血管の新生、真皮の回復が強化されると考えられる。

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