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CRISPRに基づく効率的で特異的なシトシン塩基編集のためのアデニンデアミナーゼTadA-8eの再設計
Nature Biotechnology 41, 5 doi: 10.1038/s41587-022-01532-7
シトシン塩基エディター(CBE)は、C•GからT•Aへの正確な塩基変換を効率的に行うが、AID/APOBEC(activation-induced cytidine deaminase/apolipoprotein B mRNA-editing enzyme catalytic polypeptide-like)タンパク質ファミリーのデアミナーゼ成分は、かなりのオフターゲット効果とインデルを生じる。非天然型のシトシンデアミナーゼを探索すべく、我々はアデニンデアミナーゼTadA-8eをシトシン変換に転用した。TadA-8eにN46Lのバリアントを導入すると、アデニンデアミナーゼ活性は失われ、C•GからG•Cへの極めて効率的で正確な編集が可能なTd-CGBE(TadA-8e-derived C-to-G base editor)が得られた。ウラシルグリコシラーゼ阻害因子を融合させ、さらに別のバリアントを導入することにより、BE4maxと同等の高い活性、または他の既報の正確なCBEを上回る精度のいずれかを有する一連のTd-CBE群も得られた。Td-CGBE/Td-CBEはインデル効果が極めて低く、Cas9依存性かどうかを問わずDNA/RNAオフターゲット編集はバックグラウンドレベルであった。また、Td-CGBE/Td-CBEは、細胞やマウス胚でホモポリマーシトシン部位に正確な編集を施す効率が高く、遺伝子治療などへの応用に向けて正確さと安全性が示唆された。