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異なるニューロン区画からの経時的なオキシトシン放出を測定する遺伝子コード型センサー

Nature Biotechnology 41, 7 doi: 10.1038/s41587-022-01561-2

ペプチドホルモンであり神経調節物質でもあるオキシトシン(OT)は、中枢神経系と末梢でさまざまな生理学的・病態生理学的過程に関与している。しかし、脳内の空間的OT放出の調節や機能的な流れはあまり理解されていない。本論文では、Gタンパク質共役受容体の活性化に基づく(G-protein-coupled receptor activation-based:GRAB)遺伝子コード型のOTセンサーであるGRABOT1.0を紹介する。GRABOT1.0は、従来の方法とは対照的に、適切な感度、特異性、時空間分解能で、OT放出のex vivoおよびin vivoでの画像化を可能にする。このセンサーを用い、マウス脳切片の特定ニューロン区画からの刺激誘発性のOT放出を可視化すると、N型カルシウムチャネルが主として軸索からのOT放出を介在するのに対し、L型カルシウムチャネルは細胞体樹状突起からのOT放出を介在することが発見された。軸索末端と細胞体および樹状突起とでは、OT放出の融合装置に差異が見いだされた。また、求愛行動中の雄マウスのさまざまな脳領域でOTの動態を測定した。このように、GRABOT1.0は、区画ごとのOT放出が生理機能と行動機能で担う役割に関する知見をもたらす。

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