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キメラ自己抗体受容体T細胞による筋特異的チロシンキナーゼ重症筋無力症の自己抗原特異的B細胞の正確な標的化

Nature Biotechnology 41, 9 doi: 10.1038/s41587-022-01637-z

筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)重症筋無力症(MG)は、生死に関わる筋力低下を引き起こす自己免疫疾患であり、神経筋接合部のシグナル伝達を阻害する抗MuSK自己抗体が原因である。現行治療法による長期の免疫抑制を回避する目的で、我々は、抗MuSK自己抗体を発現するB細胞を正確に標的化するために、CD137-CD3ζシグナル伝達ドメインを持つMuSKキメラ自己抗体受容体を発現するT細胞(MuSK-CAART)を作製した。MuSK-CAARTは、抗MuSK B細胞の除去に関して抗CD19キメラ抗原受容体T細胞と同等の効果を示し、可溶性抗MuSK抗体の存在下で細胞溶解活性を保持した。実験的自己免疫MGマウスモデルにおいて、MuSK-CAARTは抗MuSK IgGを減少させたが、B細胞や総IgG量は減少せず、MuSK特異的B細胞の除去が示された。in vivo、ヒト初代細胞スクリーニング、ハイスループットのヒト膜プロテオームアレイにおいて、MuSK-CAARTの明確なオフターゲット相互作用は認められなかった。こうしたデータは、MuSK自己抗体陽性のMGの治療に用いるMuSK-CAARTの治験薬申請と第I相臨床試験計画に寄与した。

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