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ペプチドを利用したゲノム編集によるヒトおよびマウス初代細胞の効率的な改変
Nature Biotechnology 42, 2 doi: 10.1038/s41587-023-01756-1
CRISPRゲノム編集法は、簡単に効率よく十分な忍容性をもって初代細胞に送達することが、今なお大きな課題となっている。本論文では、毒性を最小限に抑えながら初代細胞の迅速でロバストな編集を行うための改変型PAGE(Peptide-Assisted Genome Editing)CRISPR–Cas系を紹介する。このPAGE系は、細胞浸透性のCas9またはCas12aと細胞浸透性のエンドソーム脱出ペプチドと共に30分間インキュベーションするだけで、ロバストな単一および多重ゲノム編集を行うことができる。電気穿孔法による方法と異なり、PAGE遺伝子編集は細胞毒性が低く、転写を大きく乱すことがない。ヒトとマウスのT細胞やヒト造血前駆細胞などの初代細胞の迅速で効率的な編集が実証され、編集効率は98%を超えた。PAGEは、初代細胞の次世代ゲノム工学のための広く一般化可能な基盤となる。