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  • 異種動物の体内で作製された膵臓で糖尿病を治療する

    ラットの体内で成長させたマウスの膵臓を、1型糖尿病モデルマウスに移植すると、血糖値が制御された。また、拒絶反応は短期間の免疫抑制剤投与だけで回避できた。この成果から、治療用に臓器を成長させる興味深い方法が垣間見えてきた。

    2017年5月号

  • 造血幹細胞の維持にはバリンが必須

    血球の供給源である造血幹細胞は、必須アミノ酸の一種「バリン」に依存していることが明らかになった。マウスにバリンを含まない食餌を与えると、骨髄移植の前処置に類似した効果が得られ、移植が成立したのだ。この手法を使えば、骨髄移植に伴う毒性を低減できる可能性がある。

    2017年4月号

  • 地球の材料

    地球は、隕石が集積(落下付着)することによって成長した。この「地球の材料」がどのようなもので、それが地球形成が進むにつれてどう変化したかが、同位体の高精度測定から明らかになった。これまでの地球形成モデルを修正する必要がありそうだ。

    2017年4月号

  • 目的細胞の局在と子孫関係を同時に追跡可能な分子

    細胞のDNAに埋め込まれたバーコード配列にランダムな改変を導入する方法によって、細胞の空間的な関係を保持したまま、細胞の子孫関係を見分けることが可能になった。著者らはこの技術をMEMOIR(メモワール)と名付けた。

    2017年4月号

  • 神経の同調を回復させてアルツハイマー病を治療

    アルツハイマー病では、神経回路の活動で生じる電気的振動に障害が現れる。マウスモデル でこれらの振動を回復させると、免疫細胞が活性化して、アルツハイマー病に関連するアミロイドβタンパク質が脳から除去されることが示された。

    2017年3月号

  • 未踏の領域に踏み出した自己集合体

    適切な金属イオンと有機リンカーの自己集合によりケージ状の構造体を形成する場合、構造体の大きさには限界があった。今回、新しいケージ群の存在が発見され、かつてない大きさの構造体をこの手法で形成できることが明らかになった。自己集合研究の新たな領域が開かれそうだ。

    2017年3月号

  • ハート模様に秘められた冥王星の物語

    冥王星のひときわ目立つハート形をした明るい領域の左半分は、「スプートニク平原」と呼ばれる霜が堆積した広大な盆地だ。この盆地は、冥王星の自転軸を変化させ、表面のテクトニクス活動を促してきただけでなく、その表面下に海をたたえている可能性もあることが、4編の論文で明らかになった。

    2017年3月号

  • たっぷり眠るマウスと夢を見ないマウス

    哺乳動物の睡眠は、急速な眼球運動を伴う睡眠(レム睡眠)と急速な眼球運動を伴わない睡眠(ノンレム睡眠)からなる。遺伝子変異マウスの大規模な睡眠異常スクリーニングにより、ノンレム睡眠の必要量を決める遺伝子と、レム睡眠の終止に関与する遺伝子が突き止められた。

    2017年2月号

  • テロメラーゼに依存しないテロメア伸長の機構

    細胞の寿命は、染色体末端(テロメア)の反復配列の短縮によって制限されているが、一部のがん細胞は、テロメラーゼ非依存性テロメア伸長(ALT)と呼ばれる機構によってテロメア長を維持し、この運命を回避している。今回このALTの機構が分子レベルで詳細に解明された。

    2017年2月号

  • 光学顕微鏡と電子顕微鏡で観察可能なナノ粒子プローブ

    蛍光ナノダイヤモンドと金ナノ粒子を組み合わせた生体適合性プローブが開発され、光学顕微鏡と電子顕微鏡の両方を使った細胞イメージングが可能になった。これにより、生物学研究に新たな進展がもたらされることだろう。

    2017年2月号

  • 現生人類の分散を描く

    地理的に多様な人類集団の高カバー率のゲノム塩基配列が得られたことで、地球全体に広がった現生人類の分散について、そして地勢がゲノムの多様性をどのように形成したかについて、手掛かりが得られた。

    2017年1月号

  • アフリカツメガエルの難解なゲノムを解読!

    重要なモデル動物でありながら、そのゲノムの複雑さから長らく解読が困難とされてきたアフリカツメガエル(Xenopus laevis)のゲノム塩基配列がついに解読された。詳細な解析からは、ゲノムの進化の様子も明らかになった。

    2017年1月号

  • 化学の多様性でマラリアに挑む

    天然物に似た構造を持つ多様な化合物の大規模ライブラリーが構築され、そのスクリーニングによって、マラリア原虫の生活環の複数段階を標的とする新規の薬剤候補分子が見つかった。この分子は、単回の投与でマラリアを治療でき、耐性も生じにくいらしい。

    2017年1月号

  • 体が水分バランスを予測する仕組み

    哺乳動物の体は、体内の水分バランスが乱れると衰弱することがある。今回、2つの研究で、渇きに応答し、渇きを予期して、計画的に水分を調節している脳領域がマウスで特定された。

    2016年12月号

  • 理想的な鎮痛薬を計算科学で設計

    オピオイドと同等の鎮痛活性を有し、オピオイドよりも副作用が少ない薬剤が、構造に基づいたコンピューターシミュレーションによって開発された。今回の成果は、この手法がさまざまなタイプの薬剤の創薬に有効な戦略となる可能性を示した。

    2016年12月号

  • がん細胞は死してなおカリウムで免疫系を抑制する

    細胞死を起こした腫瘍細胞はカリウムを放出し、それがT細胞の活性を抑制することが分かった。T細胞からのカリウム排出を増強すると、がんを攻撃する能力が回復する。

    2016年12月号

  • シナプスの要、ナノカラム

    シナプス前部にある神経伝達物質分子を放出する領域と、それを捕獲するシナプス後部の領域をつなぐ「ナノカラム」構造が発見された。シナプス間隙をまたぐこの構造は、シナプスの組織化と調節の機構についての手掛かりを与えてくれる。

    2016年11月号

  • 完全にソフトなロボット

    タコ型ロボット「オクトボット」が開発された。これは、完全に柔らかい材料だけで作られた最初のロボットだ。化学反応で動力を得て、流体論理回路で制御されている。これまでの機械を超える可能性のある、「ソフトロボット」時代の幕開けを告げるものだ。

    2016年11月号

  • 細胞分裂の際に染色体がくっつかないのはなぜ?

    Ki-67タンパク質は、分裂中の細胞で増えることが知られているが、有糸細胞分裂での役割はこれまでよく分かっていなかった。今回、詳細な画像化により、細胞分裂の際に染色体がひと塊にならないのは、Ki-67が染色体の表面を覆っているためであることが明らかになった。

    2016年10月号

  • 光解離反応で観測された量子効果

    超低温の二原子分子が光を吸収して2個の原子に分裂する光解離反応で、驚くべき量子効果が初めて観測された。この研究は、量子光学の新たな研究の道を開く。

    2016年10月号