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  • 生死のスイッチ

    免疫反応を引き起こす植物ホルモンであるサリチル酸の受容体が2種類発見された。これらの受容体は、サリチル酸に対する親和性が異なっており、サリチル酸はこの親和性の違いを利用して、感染部位と非感染部位の細胞の生死を制御しているようだ。

    2012年9月号

  • サブミリ波銀河HDF850.1の正体

    非常に遠方にあるらしい、サブミリ波長(1mm未満)で明るく輝いている銀河の分光観測が行われ、ビッグバンからわずか10億年ほどの、生まれたばかりの銀河団の中心部にあることが明らかになった。

    2012年9月号

  • 体内時計に効く薬

    体内時計という仕組みは、動物の行動や生理を、地球自転の24時間周期に同期させている。この時計のいわば歯車を標的とした薬剤が、肥満などの代謝障害に有望であることがわかった。

    2012年8月号

  • 太陽の100万倍のスーパーフレア

    太陽で見られた過去最大のフレア(太陽大気で起こる爆発現象)の実に100万倍以上ものエネルギーを持つフレアが、太陽とよく似た星で起こっている。この「スーパーフレア」現象について、今回、宇宙望遠鏡ケプラーの観測データが詳しく調べられ、その生成機構に関するこれまでの仮説に、疑問を投げかける結果が得られた。

    2012年8月号

  • 哺乳類間で感染する鳥インフルエンザウイルス

    鳥インフルエンザH5N1ウイルス由来の赤血球凝集素(HA)タンパク質をもとに、遺伝子改変インフルエンザウイルスが作成され、わずか4つの変異によってフェレット間で伝播するように変わることが明らかになった。このことは、ヒトでのパンデミックが鳥から生じる可能性を強く示唆している。

    2012年7月号

  • 複雑な心臓はこうして作られる

    発生過程の臓器は、変わりゆく生命体のニーズを満たすため、ダイナミックに適応・変化する。ゼブラフィッシュを用いた研究で、筋肉の意外な成長パターンによって心臓が再構築されている事実がわかった。

    2012年7月号

  • なぜ、いいかげんに擬態するのか

    自分の姿を別種の生物に似せて、捕食者から身を守るようになった生物種がいる。ところがその中に、擬態が不正確なものがいる。自然選択に直面しながら、なぜ不完全な擬態はなくならないのか。 ハナアブの分析結果から、その謎に迫るヒントが得られた。

    2012年6月号

  • 変装させて反応させる

    すべての有機分子は多くの炭素–水素(C–H)結合を持っているため、その中から1つだけ探し出して、反応させるようなことは難しい。しかし、ありふれた化学基を「変装」させて、これをおとりとして利用すれば、この問題が解決できる。

    2012年6月号

  • 地球サイズの惑星が見つかった

    地球とほぼ同じ大きさの太陽系外惑星がついに見つかった。この惑星は太陽とよく似た星の周りを回っており、地球とよく似た生命を育んでいる惑星の発見へとつながっていくはずだ。

    2012年5月号

  • 放射性炭素14の超高感度測定法

    炭素14(14C)は微量の放射性同位体で、大気中の炭素の1兆分の1しか存在しない。今回、このさらに25分の1という低濃度でも検出できる光学的方法が開発された。新たな研究手段としても、期待が高まっている。

    2012年5月号

  • 高エネルギーの原子X線レーザーを実現

    レーザーの歴史が半世紀を超えた今、レーザー開発者たちの夢がまた1つ実現した。原子の状態遷移によるレーザーとしては従来よりもずっと高い、キロ電子ボルト領域の光子エネルギーを持つ、X線レーザーだ。

    2012年4月号

  • トカゲの尻尾の役割

    綱渡りでは、バランスをとるために長い棒を使う。ジャンプするアガマトカゲも、空中で尾をバランス棒と同じように使っているらしい。それだけではない。恐竜の中にも、同じことをするものがいた可能性があるという。

    2012年4月号

  • シャーレの中の造形芸術

    in vitroで臓器の発生を再現することは難しい。特に、組織間の相互作用が不可欠である場合にはきわめて困難である。にもかかわらず、in vitroで下垂体の発生を再現させることができた。

    2012年3月号

  • 不可解な「クリスマスガンマ線バースト」

    ガンマ線バーストは、宇宙のある狭い領域から大量のガンマ線が短時間に放出される現象だ。しかし、その中には、広く認められた理論モデルと矛盾する謎の現象もある。そんな1つが「クリスマスガンマ線バースト」だ。今回2つの研究チームが、このバースト現象を説明する全く異なるモデルをそれぞれ報告した。

    2012年3月号

  • 動的カシミール効果を初めて検証!

    物体の加速度運動に伴って量子真空から光子が生成する現象を、動的カシミール効果と呼ぶ。今回、鏡が超高速で動くのと同等の仕組みを、超伝導回路を利用した実験で実現し、この効果を初めて実証した。

    2012年2月号

  • ミステリアスな金の表面

    金はかつて考えられていたほど不活性ではない。金を使って分子合成を促すことができる。飽和炭化水素から一次元ポリマーの形成を誘導する金のようすを、走査トンネル顕微鏡がとらえた。

    2012年2月号

  • 福山型筋ジストロフィーの治療に光明

    日本人に多い「福山型」の筋ジストロフィーが、予想外のスプライシング異常で発症することがわかった。さらにこの知見に基づく治療法に関して、マウスで有望な結果が得られ、患者にとって希望の光となるかもしれない。

    2012年1月号

  • ミクロの梁を光で冷やす

    ナノメカニカル共振器、つまり機械的な共振を起こすナノスケールの素子を、レーザー光を使って最低エネルギー状態にまで冷やすことに米国の研究者らが成功した。これにより、量子力学の原理を検証したり、量子情報処理に応用したりする道が開かれた。

    2012年1月号

  • 幹細胞治療は正しい方向に進んでいる

    幹細胞治療は、損傷したり変性したりした組織を回復させることができる治療法として有望視されている。幹細胞は現在、血液の入れ換えに本格的に用いられており、次は筋ジストロフィーの治療で成功を収めることになりそうだ。

    2007年2月号

  • ピンクのキュービット

    一部のダイヤモンドは、結晶構造に窒素- 空孔欠陥とよばれる不完全性があるため、特徴的なピンク色を呈している。こうした欠陥を適切に操作することができれば、量子コンピューターの「キュービット」として利用するというバラ色の展望が開けてくるかもしれない。

    2007年1月号