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脳の中に記憶の正体を探す
「脳の研究にとって、こんなにワクワクする時代はないと思います」。脳の高次機能の研究に長年取り組み、特に記憶のメカニズムの解明で世界を牽引してきた東京大学大学院医学系研究科の宮下保司教授は目を輝かせる。脳科学者にとって、テクノロジーのブレークスルーが起きているからだという。30年間の研究を振り返りつつ、宮下教授は興味の尽きない研究の将来を語る。
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網膜内部に血管が入り込まない仕組みを、分子レベルで解明!
生体には血管網が張り巡らされており、血管を介してさまざまな物質が供給される。血管新生はがんなどで異常に活性化されるため、新生メカニズムの研究は世界中で盛んに行われている。一方で、血管が入り込まない組織(軟骨や発生期の網膜など)があることも知られているが、その排除メカニズム解明は全く進んでいなかった。このほど、久保田義顕・慶應義塾大学医学部准教授らは、血管網の可視化研究から、思いがけない仕組みによって血管が排除されていることを突き止めた。
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誰もが“バイオインフォマティシャン”の時代
インターネット上の情報やツールを使った遺伝子検索や配列解析など、生命科学分野では研究者や医療従事者によるビッグデータの活用が重要になってきた。そのときに役立つのが、バイオインフォマティクス(生物情報学)の基礎知識。だが日本では教育が遅れ気味だ。バイオインフォマティクス分野の草分け的存在の4人に、バイオインフォマティシャンの仕事や役割、この分野の展望を語ってもらった。
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脳の大きさを制御する、新たな分子メカニズムを解明!
ヒトの脳は約1.3〜1.5kgとされるが、容量がこれよりも病的に小さく、知的障害を伴う「小頭症」という疾患がある。神経変性疾患を研究対象にしてきた岡澤均・東京医科歯科大学教授らは、ニューロンの核における機能分子の探索と解析を続ける中でPQBP1という新規タンパク質を突き止め、その異常によりあるタイプの小頭症が引き起こされることを分子レベルで解明した。
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定量的なプロテオミクス技術の開発─挑戦的な研究テーマが10数年越しに結実
「そんなやり方は、クレイジーだ」と言われたこともある。それでも、ひるまなかった。技術革新が科学を進めると信じる強い気持ちと、積み上げた実験結果で、タンパク質の包括的定量技術の開発に成功した。その10数年越しの研究を、中山敬一教授(九州大学生体防御医学研究所)が初めて語る。
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遺伝情報の転写時に、短いRNAが作られる仕組みを解明!
遺伝子の情報はいったんmRNAに写し取られるが、mRNAは「ただ写し取られた」ものではない。mRNAは作られる過程で不要な部分が切り取られたり、末端に特定の配列が付加されたりするなどの加工を受ける。山口雄輝教授は、山本淳一研究員とともに、作られるRNAの長さを適切に制御する仕組みを発見した。この発見はRNAの長さはDNAに刻み込まれているとされていた従来の概念を覆すものだ。
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極低温電子顕微鏡が可能にする、膜タンパク質の構造解析
酵素や転写因子などのタンパク質は、三次元結晶を用いたX線構造解析やNMRなどによる解明が進んでいる。一方、膜に埋まったタンパク質は、本来の構造を維持したままの結晶化が困難なことから解析が遅れている。そうした中、名古屋大学の藤吉好則特任教授は、自らの手で極低温電子顕微鏡と呼ばれる特殊な電子顕微鏡を開発し、膜タンパク質研究を牽引し続けている。
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次世代シーケンサーで、研究も医療も変わる!
ゲノム配列を高速で解読できる次世代シーケンサーが米国などの数社から製品化され、さまざまな基礎研究や応用分野で活発に使用されるようになってきた。この装置で具体的にどんなことが可能なのか、ゲノム解析技術の開発や整備に長年関わってきた東京大学の菅野純夫教授と、次世代シーケンサーを使った研究成果を次々と発表している京都大学の小川誠司教授に、医学や医療の分野を中心に話を聞いた。
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がん幹細胞を正常細胞に変える方法を確立し、がん完治を目指す!
一貫して、がん幹細胞を対象に研究を続ける、慶應義塾大学医学部 先端医科学研究所 遺伝子制御研究部門の佐谷秀行教授。今回は、信末博行特任助教らとともに「細胞の形の変化が、その細胞の運命を決める」との、逆説的にも思える成果をもたらした。研究は、治療の難しいがん幹細胞を正常な脂肪細胞へと導く新たな治療法につながる可能性を秘めるという。
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ゲノム研究から先制医療へ
その行動力で数々のプロジェクトを牽引し、ゲノム研究を推進してきた理研の林崎良英ディレクター。FANTOMコンソーシアムの設立、ノンコーディングRNAの発見、マイクロアレイやシーケンサー技術の導入など多くの成果を挙げてきた。親しみやすさと率直さがトレードマーク。「でも発言がストレートなので、誤解されやすいんですよ」と言う。今回新たに立ち上げたのは「予防医療・診断技術開発プログラム」。先制医療へ乗り出すのだという。林崎ディレクターは今、何を考える?
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CRISPR法が世界を変える!
標的とする遺伝子のDNA配列を改変できるゲノム編集技術が開発され、注目を浴びている。この技術によって、さまざまな生物種で遺伝子ノックアウトなどが可能になるのだ。また、2014年3月14〜16日に徳島大学で国際的なゲノム編集シンポジウムが開催されるに当たり、シンポジウム直前の徳島大学の研究者たちに、この技術の持つ意味と可能性について解説していただいた。また、ラットにおけるゲノム編集技術について、京都大学の真下知士准教授にお話を伺った。
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アポトーシスは 脳の形作りに必須だった!
多細胞生物には、細胞が自ら死に向かう「アポトーシス」が備わっている。特に発生過程では、アポトーシスが厳密に実行されることで、特定の大きさ、機能、形を持つ組織や臓器が作られる。このほど、東京大学大学院薬学系研究科の三浦正幸教授と山口良文助教らは、アポトーシスが、脳の発生を次の段階に進めるスイッチであることを初めて実証した。
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皮膚細胞を、iPS細胞を経ずに軟骨組織に作り変える
iPS細胞から、さまざまな細胞に分化誘導する研究が加速する一方で、体細胞を他の種類の体細胞に直接誘導する「ダイレクト・リプログラミング」も検討されている。このほど、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の妻木範行教授らは、ヒトの線維芽細胞から、直接、軟骨細胞様の細胞を作り出すことに成功した。
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自然リンパ球の開拓者
リンパ球といえば、抗原抗体反応、つまり「獲得免疫」で働く主役の細胞群として知られてきた。ところが近年、「自然免疫」で働くリンパ球が次々と発見され、この新種の細胞群は、「自然リンパ球」と総称されるようになった。こうした研究の火付け役の1人である小安重夫氏(理研・統合生命医科学研究センター)に、自然リンパ球とは何か、また発見の経緯について伺った。
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シーラカンスの全ゲノムが語る脊椎動物の陸上化
何億年もの間、ほとんど変わらない姿で現存し、「生きた化石」とも称されるシーラカンス。このほど、東京工業大学、国立遺伝学研究所、東京大学などによるチームが、約27億対に及ぶ全ゲノムの解読に成功した。みえてきたのは、シーラカンスの際立った特異性と、脊椎動物の陸上化に関わる分子メカニズムの一端だ。
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組織や器官を作り出す“職人肌”の科学者
組織や器官を構成するものは何か?─“細胞”という答えは正しくないそうだ。生体は、細胞と“細胞の足場”により成り立っていると、竹澤俊明上級研究員は言う。細胞の足場とは、細胞周囲でそれを支える支持体のこと。この組織工学の草分け研究者は、足場の研究に魅せられて、再生医療から創薬、動物実験代替法などの応用面を支える技術をこつこつと生み出してきた。
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脳損傷時のニューロン保護作用とグリア細胞のカルシウム濃度
受精の際、卵に精子が1つ入ると、カルシウムイオンの波が生じて2つ目が入れないようになる。この例のように、カルシウムは、さまざまな生命現象の制御シグナルとして機能している。このほど、東京大学大学院医学系研究科の飯野正光教授らは、脳が傷害を受けた際にも、カルシウムシグナルが発生して、グリア細胞がニューロンの保護活動を開始するらしいことを見いだした。
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オートファジー — 細胞はなぜ自分を食べるのか
「オートファジー」は、細胞が自らの一部を分解する作用(自食作用)のことだ。細胞内のゴミ処理だけでなく、資源のリサイクルなどにも役立っていることがわかってきた。この十数年、飛躍的に発展してきたこの分野を牽引したのが日本の研究者たちだ。リーダーの1人、水島昇氏が、オートファジー研究のこれまでと、これからについて語る。
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血管付き三次元細胞シートの作製に成功!
2012年9月、大阪大学医学部の澤芳樹教授らは、衝撃的な臨床治療の成果を発表した。その患者は重篤な拡張型心筋症で、補助人工心臓なしでは生きられない状態だったが、細胞シート移植で心筋機能が回復、無事退院したというのだ。その補助人工心臓の開発メンバーの1人でもある早稲田大学理工学術院の梅津光生教授は、今回、毛細血管付きの三次元細胞シートの作製に成功した。
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脳の画像から、夢と心を読む
人の心をfMRI画像から読み解くという画期的な技術を開発し、世界を驚かせてきた計算神経科学者、神谷之康氏。機械学習によるパターン認識というコンピューターの手法を神経科学に持ち込み、脳の解明に挑む。今回、眠っている人の夢の中身をfMRI画像から解読することに成功した。