2014年11月号Volume 11 Number 11
物理学賞は青色LEDを開発した3人に
2014年のノーベル物理学賞は、窒化ガリウムによる高輝度青色LEDを開発した3人の研究者に贈られることになった。赤﨑勇・名城大学教授、天野浩・名古屋大学教授、中村修二・カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授の各氏だ。日本生まれの高輝度LEDは、その電力消費量の少なさと耐久性の高さから資源保護につながる発明であると評価され、スウェーデン王立アカデミーは「21世紀はLEDによって照らされる」と賞賛した。Nature ダイジェストでは、この受賞理由を別の視点から解説する。
Editorial
News in Japan
物理学賞は青色LEDを開発した3人に
2014年のノーベル物理学賞は、窒化ガリウムによる高輝度青色LED(発光ダイオード)を開発した3人の研究者に贈られることになった。赤﨑勇・名城大学教授、天野浩・名古屋大学教授、中村修二・カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授の各氏だ。
News
Free access
羨望を集める日本の幹細胞臨床研究
iPS細胞から作成された網膜の移植手術が、世界に先立って日本で行われた。他の国々でも、研究者たちがiPS細胞治療の臨床研究へのゴーサインを今か今かと待ちわびている。
血液から病原体を除去できる人工脾臓
脾臓を模した人工浄化装置が開発され、実際に細菌に感染させたラットに使うと生存率が改善した。数年以内にヒトへの応用が実現する可能性がある。
被写体に触れていない光で写真を撮る
「量子もつれ」を使って、被写体を照らしていない光でその画像を得ることに成功した。
「泳ぐ恐竜」スピノサウルス
背に巨大な「帆」を持つ肉食恐竜スピノサウルスは、半水生恐竜として太古の水辺を支配していた。
人体の常在細菌叢は薬の宝庫
ヒトに棲み着いている細菌ゲノムデータから、新規の抗生物質が発見された。
ネアンデルタール人が絶滅したのは4万年前
ネアンデルタール人が欧州から消えた時期は定説よりもはるかに早かったことが、改良型の放射性炭素年代測定法により明らかになった。
遺伝子組換えユーカリの承認を検討するブラジル
ブラジルで承認されれば、いずれ熱帯・亜熱帯地方全域でこの樹木の大規模栽培が行われるようになると考えられ、事態の成り行きに注目が集まっている。
3000万人参加のアスピリン調査が米国で始まる
米国で、ビッグデータ医療ネットワークを利用する臨床研究が始動した。
オープンアクセス誌要覧サイトが、登録要件を厳格化
代表的なオープンアクセス誌要覧サイトDOAJが、厳しい登録基準を新設した。悪質なジャーナルの排除が目的だ。
News Features
南極大陸の秘密の湖
南極大陸の氷床の表面下800mにある氷底湖から採取したサンプルに数千種類の微生物が含まれていることが明らかになった。未知の巨大な生態系の存在が示唆される。
夢の化学者ロボット
どんな有機化合物でも自動で合成できる合成ロボットがあったら、化学は大きく変わるだろう。そんなロボットを作ろうと競争が始まっている。
Japanese Author
定量的なプロテオミクス技術の開発─挑戦的な研究テーマが10数年越しに結実
「そんなやり方は、クレイジーだ」と言われたこともある。それでも、ひるまなかった。技術革新が科学を進めると信じる強い気持ちと、積み上げた実験結果で、タンパク質の包括的定量技術の開発に成功した。その10数年越しの研究を、中山敬一教授(九州大学生体防御医学研究所)が初めて語る。
News & Views
歯の構造の進化をin vitroで再現
モルフォゲンであるEDAタンパク質を欠損したマウスには、正常な構造の歯が生えない。EDA欠損マウスの胎生期の歯にEDAを加えて培養すると、EDAの量に応じて、歯は進化の過程をたどり、マウス本来の構造に戻ることが示された。
狙いどおりのナノチューブに成長する「種」
1種類の単層カーボンナノチューブ(SWCNT)のみを選択的に合成できる技術が開発された。この方法を利用すれば、あらゆる種類のナノチューブを純粋な形で得られるようになるかもしれない。
News Scan
スケスケ科学
ネズミの体を透明にする新技術
大型動物ががんを抑える方法
ウイルスのゲノム侵入を抑えているようだ