2014年9月号Volume 11 Number 9
忘却の遺伝子
1990年代にアルツハイマー型認知症との関連が報告されたものの顧みられずにいた遺伝的リスク因子「アポE」。これまでアミロイドβの代謝を標的とした薬剤開発が行われてきたものの、期待に応えるほどの薬効を持つものがいまだに登場してないことから、現在、この因子に立ち戻ろうという動きがある。実際、この因子を基に、認知機能が正常な高齢者の発症を予測し、先制的な治療を施すという臨床試験が始まっている。
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「データを再利用」する時代─Scientific Data が切り開く
Editorial
Seven Days
News
「にがり」で太陽電池製造過程の安全性が向上
テルル化カドミウム太陽電池製造過程で必要な塩化カドミウム処理を、塩化マグネシウム処理で置き換え可能なことが示された。
卵の模様でカッコウの托卵に対抗
カッコウの托卵被害に遭っている鳥たちが自らの卵を守るために描き出した戦略が、視覚認識ソフトによって明らかになった。
日光浴には中毒性がある!?
マウスを低用量の紫外線に長期間さらすと、βエンドルフィンというオピオイドが産生されることが明らかになった。この物質は薬物依存症にも関連している。
地球の呼吸を探る、NASAの炭素観測衛星OCO-2
7月に打ち上げられたNASAの軌道上炭素観測衛星OCO-2は、これまでになく高い精度で温室効果ガスの排出源と吸収源のマッピングを行う。
見直され始めたファージ療法
抗生物質耐性問題が拡大し続けていることを受け、100年の歴史を持つファージ療法への関心が再燃している。
息を吹き返した抗がん剤「PARP阻害薬」
いったんは開発が打ち切られた抗がん剤「オラパリブ」が、紆余曲折を経て、現在、米国食品医薬品局に承認申請されている。
News Feature
忘却の遺伝子
アルツハイマー病の有力な遺伝的リスク因子が20年余り前に報告されたが、研究者の多くはそれをほとんど無視してきた。しかし、その風潮がようやく変わろうとしている。
News & Views
耐性菌の抗生物質耐性を無効化する天然物
カルバペネム系抗生物質は現在、重篤な感染症に対する最後の砦であるが、耐性菌の急増が世界的な公衆衛生問題になっている。今回、真菌の一種が産生する天然化合物が、カルバペネム系抗生物質耐性細菌の、カルバペネム耐性を無効化させることが分かった。
ダイヤモンドをもっと硬く
ダイヤモンド含有複合材料は世界で最も硬い材料の1つだが、極端な条件で使用すればやはり破損する。「タマネギ状」のカーボン前駆体から作製したナノ構造化ダイヤモンドなら、この問題を克服できるかもしれない。
News Scan
伝承を活かす 〜リバース薬理学の挑戦〜
伝統的な薬草について臨床試験を行うという新たな方法で有望な結果が得られている