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2016年12月号Volume 13 Number 12
天才児の育て方
並はずれて優秀な子どもたち5000人を45年にわたり追跡してきた米国のSMPYによる調査から、そうした子どもたちが学習意欲を持ち続けるためには手助けが必要なことが分かってきた。彼らは、自分自身で興味のあるものを見つけ出し、自力でその力を伸ばしていくことができると考えられがちだが、そうではないという。彼らが未来を切り開き、幸福にもなれるようにするためには大人の介入が必要であり、それにはまず、そうした子どもたちを見つけ出す必要がある。
Editorial
News
現代人の免疫応答を左右するネアンデルタールDNA
欧州系集団とアフリカ系集団の免疫細胞を比較した2つの研究から、これらの集団間に見られる、感染に対する免疫応答の強さや自己免疫疾患への罹患リスクの違いが、ネアンデルタール人由来のDNAの有無によって説明できる可能性が示された。
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サルの「石器」が投げかける疑問
ブラジルに生息するオマキザルの一種には石を打ち割る習性があり、その結果生じる石の破片は、旧石器時代の人類が作った剥片石器によく似ていることが報告された。これは、考古学における石器の解釈にまさに一石を投じる発見かもしれない。
「オートファジー」の解明にノーベル医学・生理学賞
細胞の重要なリサイクル機構の研究を大きく進展させた大隅良典が、ノーベル医学・生理学賞を単独受賞した。
2次元エキゾチック材料の理論にノーベル物理学賞
トポロジーの概念で奇妙な現象を説明した3人の理論家に贈られる。
ノーベル化学賞はナノマシンに
分子マシンの3人のパイオニアにノーベル化学賞が贈られる。
11億個の星の地図を公開
欧州宇宙機関のガイア計画が銀河系の星の地図データを初めて公表した。
3D印刷で「ルーシー」の死因を探る
アウストラロピテクス「ルーシー」の化石骨の3Dスキャンデータが公開された。データを公開した研究チームは、死因の検証に役立てられることを期待している。
キリンは4種に分類される?
最新の遺伝子解析の結果から、キリン保護のための新たな道筋が見えてきそうだ。
人類の米大陸進出ルートはカナダ回廊でなく沿岸
現生人類の米大陸移住は、カナダ回廊を経由したと考えられていたが、この場所が居住可能になったのは、米大陸に人類が移住してずいぶん経ってからのことだと分かった。
「がんムーンショット」計画達成への10項目を発表
米国のがん撲滅計画で目指すべき研究目標について、諮問委員会の作業部会が勧告としてまとめた。その内容は免疫療法から診断法まで幅広い。
U87細胞株をめぐる謎
脳腫瘍研究で一般的なある細胞株のDNAプロファイルは、その起源とされる50年前の腫瘍のDNAプロファイルと一致しないことが明らかになった。
News Feature
天才児の育て方
並外れて優秀な児童の成長を長期にわたって追跡する研究から、21世紀をリードする科学者を育てるために必要なことが見えてきた。
Japanese Author
AI活用でゲノム医療・精密医療の実現へ
2016年10月、ラスベガスで開かれたIBM社の国際イベントに招かれ、人工知能「ワトソン」の医療応用について語った宮野悟 教授(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター)。人工知能を活用してゲノムのビッグデータを医療に効果的に役立たせることが今後の世界の潮流となり、そのための経済的基盤と社会的コンセンサスの構築が求められてくると宮野教授は指摘する。
News & Views
体が水分バランスを予測する仕組み
哺乳動物の体は、体内の水分バランスが乱れると衰弱することがある。今回、2つの研究で、渇きに応答し、渇きを予期して、計画的に水分を調節している脳領域がマウスで特定された。
がん細胞は死してなおカリウムで免疫系を抑制する
細胞死を起こした腫瘍細胞はカリウムを放出し、それがT細胞の活性を抑制することが分かった。T細胞からのカリウム排出を増強すると、がんを攻撃する能力が回復する。
理想的な鎮痛薬を計算科学で設計
オピオイドと同等の鎮痛活性を有し、オピオイドよりも副作用が少ない薬剤が、構造に基づいたコンピューターシミュレーションによって開発された。今回の成果は、この手法がさまざまなタイプの薬剤の創薬に有効な戦略となる可能性を示した。
News Scan
分類学の分裂
DNAによる種の決定をめぐり熱い議論が続く
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