ヒトゲノムを解明する能力が一段と向上
遺伝暗号の個人差はヒトの発生・発育や健康にどのような意味を持つのだろうか。研究者はこの問題の解決に当たり、いくつもの壁に阻まれている。第一に、ヒトゲノムには低頻度のバリアント(集団内に存在する変異)が多数あるため1、遺伝的多様性を解明するには膨大な数の塩基配列を解析する必要がある。こうしたバリアントの大半は影響を及ぼさず、遺伝病の原因になるものはごくわずかである。第二に、遺伝的多様性について解明されたことの大部分は、一塩基バリアント(SNV)の研究から得られたものだが、50塩基以上の長さにわたる構造バリアントは、生理的形質に対してSNVよりも大きい影響を及ぼす場合があり、疾患の主要な原因となる2。第三に、タンパク質コード塩基配列ではない領域の多様性については、現在のところ解明が進んでいない。gnomAD(Genome Aggregation Database)コンソーシアムは、これらの情報の空白を埋めるプロジェクトに取り組み、その成果をNature 2020年5月28日号に4本の論文(434、444、452、459ページ)として発表した3–6。
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翻訳:船田晶子
Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 8
DOI: 10.1038/ndigest.2020.200833
原文
Thousands of human sequences provide deep insight into single genomes- Nature (2020-05-28) | DOI: 10.1038/d41586-020-01485-4
- Deanna M. Church
- Deanna M. Churchは、インスクリプタ社(米国コロラド州ボールダー)に所属。
参考文献
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