Letter ES細胞特異的miRNA:胚性幹細胞に特異的なマイクロRNAはG1期からS期への進行を調節し、急速な増殖を促す 2008年12月3日 Nature Genetics 40, 12 doi: 10.1038/ng.250 Dgcr8遺伝子を欠失(ノックアウト)した胚性幹細胞(ES細胞)ではマイクロプロセッサー活性を欠いており、典型的なマイクロRNA(miRNA)すべてが欠けている。こうした細胞はゆっくりと増殖し、細胞周期のG1期に蓄積される。この論文では、Dgcr8遺伝子をノックアウトしたES細胞のバックグラウンドで、それぞれのmiRNAの完全なライブラリをスクリーニングすることにより、複数のES細胞特異的なmiRNA、すなわちmiR-290ファミリーのメンバーがES細胞の増殖の欠損を回復させることを報告する。さらに、回復された細胞はもはやG1期に蓄積することはなくなった。これらのmiRNAはG1-S期の移行のカギを握るいくつかの調節因子を抑え込むことで機能している。これらの結果からmiRNAによる翻訳後の調節はES細胞の細胞周期でG1-S期の移行を促進し、これらの細胞の急速な増殖を可能にしている。私たちが用いたスクリーニング法は、miRNAシステム内での重複や飽和といったよくある問題を回避できるので、miRNAの生物学的過程での、それぞれの役割を見つけだすための新しい強力な研究法を提供する。 Full text PDF 目次へ戻る