植物は、生殖および生存を環境の制約に適応させるための択一的戦略として、一年生および多年生の生活型を進化させた。島嶼などの隔離された状況では、一年生の祖先から繰り返し多年生の木本が進化してきた。島嶼の木本の急速な進化に関する分子基盤は明らかにされていないが、多年生と一年生との分子レベルの差はさほど大きくなく、両生活方式間の移行には遺伝子レベルの大規模な変化が必要ではないと考えられる。発生調節因子は進化的変異を強く左右する場合があり、分裂組織の転換に関与する遺伝子は生長習性スイッチの有力な候補である。我々は、MADSボックスタンパク質SUPPRESSOR OF OVEREXPRESSION OF CONSTANS 1(SOC1)およびFRUITFULL(FUL)が、開花期を制御するのみならず、全分裂組織の確定性(determinacy)にも影響することを見いだした。さらに、両タンパク質を減少させると多年生植物の生活様式で一般的な表現型が定着したことから、これが一年生の生活型にみられる二次生長および長期生存の抑止に関与していることが示唆された。