非コードRNA:非コードRNAのSNORD50AおよびSNORD50BはK-Rasに結合し、ヒトがんにおいて欠失が頻発している
Nature Genetics 48, 1 doi: 10.1038/ng.3452
核小体低分子RNA(snoRNA)は保存された非コードRNAで、RNAの修飾においてリボ核タンパク質(RNP)を誘導することが非常によく研究されている。snoRNAのがんにおける役割を調べるために、5,473組の腫瘍ゲノムと正常ゲノムを比較し、コピー数減少が頻発するsnoRNAを同定した。12の一般的ながんでは、その10〜40%においてSNORD50A-SNORD50B snoRNA座位が欠失しており、その欠失が生存の短縮に関連していた。ヒトタンパク質マイクロアレイスクリーニングから、SNORD50AおよびSNORD50BのRNAが直接K-Rasに結合することが明らかになった。SNORD50AやSNORD50Bの欠損は、GTPが結合した活性型K-Rasの量を増加させ、Ras-ERK1/ERK2シグナル伝達の過剰活性化を引き起こした。これらのsnoRNAの欠損は、K-Rasへのファルネシルトランスフェラーゼの結合増加やK-Rasのプレニル化の上昇も引き起こすことから、KRAS変異ががんにおいてSNORD50AおよびSNORD50Bの欠損と相乗的に機能する可能性が示唆された。この仮説と一致して、KRAS変異型の腫瘍細胞においてSNORD50AおよびSNORD50BをCRISPR法により欠失させると腫瘍形成が増強されること、また、多数の種類のヒト腫瘍ではSNORD50AおよびSNORD50Bの欠失と発がん性KRAS変異が有意に共存することが分かった。従って、SNORD50AおよびSNORD50BのsnoRNAはK-Rasに直接結合してその機能を抑制しており、また、ヒトがんにおいて欠失が頻発している。