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自己炎症性疾患:A20ハプロ不全につながるTNFAIP3の機能喪失変異は早期発症型自己炎症性疾患を引き起こす
Nature Genetics 48, 1 doi: 10.1038/ng.3459
全身性自己炎症性疾患は自然免疫の異常活性化によって促進される。本論文では、早期発症型全身性炎症の見られる血縁関係のない6家系では、NF-κB調節タンパク質A20をコードするTNFAIP3の高浸透率の生殖細胞系列ヘテロ接合性変異によって新しい疾患が引き起こされることを報告する。この疾患は、成人早期に発症する多遺伝子疾患と一般的に考えられているベーチェット病に類似している。A20はNF-κBシグナル伝達経路の強力な阻害因子である。変異型、短縮型のA20タンパク質は、過剰発現実験において優性ネガティブ効果を発揮しないので、ハプロ不全を介して機能すると考えられる。患者由来の細胞では、IκBαの分解増加やNF-κB p65サブユニットの核移行増加とともに、NF-κBが仲介する炎症性サイトカインの発現の増加が見られた。A20は脱ユビキチン酵素活性を介してNF-κBシグナルを制限する。変異型A20タンパク質を発現する細胞では、腫瘍壊死因子(TNF)による刺激後、TRAF6、NEMOおよびRIP1からのLys63結合型ユビキチンの除去に異常が見られた。NF-κB依存的な炎症性サイトカインはこの疾患の患者において治療標的になる可能性がある。