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老化:DNAポリメラーゼの異常によりヒト正常細胞で増加した体細胞変異負荷
Nature Genetics 53, 10 doi: 10.1038/s41588-021-00930-y
体細胞での変異の蓄積はがんの発生に関与しており、老化の原因だと考えられている。DNAポリメラーゼのPol εとPol δは細胞分裂中にDNAを複製する。しかし、一部のがんでは、POLE/POLD1のエキソヌクレアーゼドメイン変異の獲得に起因する校正異常によって、特有の変異シグネチャーを持つ体細胞変異負荷が著しく上昇する。POLE/POLD1の生殖細胞系列変異は、家族性がんの素因をもたらす。今回我々は、POLE/POLD1の生殖細胞系列変異の保有者から採取した正常組織と腫瘍のDNAについて、塩基配列解読を行った。特徴的な変異シグネチャーを持つ変異負荷の増加は、成体の正常な体細胞タイプや、初期胚発生期、精子において見られた。従って、ヒトの生理機能は、至る所で普遍的に上昇する変異負荷に耐えることができる。がんリスクの増加を除いて、POLE/POLD1の生殖細胞系列変異保有者では、早期老化の顕著な特徴は見られない。これらの結果は、生涯を通じて生じた体細胞変異負荷が直接の原因となる広範な細胞機能不全が、老化の全ての特徴を引き起こすというモデルを支持しない。