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白血病:MLLのクロマチン不均一性を調べる自動化CUT&Tagプロファイリング
Nature Genetics 53, 11 doi: 10.1038/s41588-021-00941-9
急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病では、KMT2Aリシンメチルトランスフェラーゼ(別名MLL1:mixed-lineage leukemia-1)をコードするKMT2A遺伝子を含む染色体転座がよく見られ、これらの転座はKMT2Aと他のクロマチン調節タンパク質とのインフレーム(読み枠がずれない)融合を生じる。今回我々は、細胞株と患者試料において、多様なKMT2Aがん融合タンパク質に対する融合特異的な標的をゲノム全域にわたってマッピングした。我々は、CUT&Tagクロマチンプロファイリング法を完全自動化用に改変することで、KMT2Aがん融合タンパク質により誘導される異常なクロマチン調節について、腫瘍に共通した部位と腫瘍サブタイプ特異的な部位を特定した。KMT2Aがん融合結合部位のサブセットは、バイバレント修飾された(H3K4me3とH3K27me3)クロマチンシグネチャーにより標識され、単一細胞レベルのCUT&Tagプロファイリングから、これらの部位では細胞系譜可塑性を示唆する細胞間の不均一性が見られることが明らかになった。さらに、遺伝子本体でのH3K4me3の異常な増加が、Menin阻害剤に対して感受性を示すことが分かり、治療脆弱性を見つける上でクロマチン自動化プロファイリングの有用性が実証された。このように、自動化と単一細胞CUT&Tagの両方を備えることにより、患者試料内のエピゲノム不均一性の発見や、治療薬に対する感受性の予測が可能になる。