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遺伝子調節:細胞の運命指定から組織分化への移行においてエンハンサー–プロモーター相互作用はより誘導的になる

Nature Genetics 56, 4 doi: 10.1038/s41588-024-01678-x

発現を調節するには、エンハンサーは標的遺伝子に接近しなければならない。しかし、エンハンサー–プロモーター(E–P)の近接のタイミングと活性の間の関係は、非共役相互作用、逆相関相互作用、相関相互作用の例があり、明らかになっていない。本論文では、これを評価するために、ショウジョウバエ(Drosophila)胚において組織特異的活性の特徴が明らかな600のエンハンサーあるいはプロモーターを選択し、FACSで純化した筋原細胞または神経原性細胞の運命指定および組織分化の際にCapture-C法を実施した。これにより、発生過程に関して、E–P近接と、オフからオンやオンからオフへ移行する活性状態の間の直接比較が可能になった。その結果、運命指定された筋細胞と神経細胞の間ではE–Pトポロジーが非常に類似しており、これは活性とは共役しないことが分かった。組織分化の際には、多くの新しい遠位相互作用が出現し、そこではE–P近接性の変化が活性の変化を反映していた。従って、E–P調節様式は、胚形成が進行するにつれて、細胞運命指定の際の大きく許容されるトポロジーから、組織の終末分化の際のより誘導的な調節(このときE–Pの近接性は活性化と共役している)へと変化すると考えられる。

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