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コーヒー:異質倍数体であるアラビカコーヒーノキのゲノムと集団ゲノミクスから現在のコーヒー品種の多様化の歴史が明らかになる

Nature Genetics 56, 4 doi: 10.1038/s41588-024-01695-w

アラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)は、Coffea eugenioidesCoffea canephoraの異質4倍体雑種であり、世界のコーヒー製品の約60%の供給源で、その栽培品種アクセッションには数回の集団ボトルネックが起こっている。本論文では、アラビカコーヒーノキアクセッションの半数体である2倍体と、その2倍体祖先種の現在の代表種であるC. eugenioidesおよびC. canephoraについて、染色体レベルのアセンブリを示す。この3種は、2倍体の親種と子孫種のサブゲノム間でゲノム構造の大部分が保存されており、明らかな大域的サブゲノム優位性は見られなかった。35万~61万年前に倍数化の創始者事象が起こり、その後、数回のボトルネックが栽培化前に生じ、その結果、遺伝的多様性が狭まったという証拠が見つかった。野生アクセッションと栽培品種の祖先種は約3万500年前に分かれ、その後、これら2集団間には互いに移住が繰り返される期間が続いた。現在の品種、例えばC. canephoraからの遺伝子浸透が歴史的に見られる系統などの解析から、育種歴や病原体抵抗性に関与する可能性のある座位が明らかになり、ゲノミクスに基づいた今後のアラビカコーヒーノキ育種の基礎が築かれた。

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